これは、ユーロ2008を舞台にサッカーの審判にスポットを当てたドキュメンタリー映画。
試合での仕事ぶりはもちろんのこと、試合前及び試合中のプレッシャーや審判としての姿勢、ジャッジの仕方、誤審とそれに対する苦悩、そして、家族の想いといったことが詰まった作品です。
これはとても面白かったです。
審判同士がインカム(無線機)で試合中に何を話しているのか判って試合の流れがより深く判り非常に面白いです。
勿論、無駄話はしていません。
若い審判団の一人が大雨が近づいていることを念のため主審に連絡すると、主審のハワード・ウェブが「天気がどうだろうと関係ない。試合に集中しろ。無駄なことは言うな」と言うところや、ファールをした相手選手の名前を連呼して「○○だ。イエロー出せ、イエロー出せ」と指示を出すと「○○だな。○○で良いのか?」と確認した上でイエローカードを出したり、「引き下がるな。引き下がるな」と抗議する選手から逃げずに向き合うよう指示するシーンが印象的でした。
この映画で再確認したことは、選手は試合を構成し実行し、監督は試合の流れを作り出し、審判は、試合が成立するように制御すると言うことでした。
どれが欠けてもいけない、相互に必要な存在なのだと。
だから、試合において良いジャッジかどうかと言うことはとても重要視され、良いジャッジをする審判というのは、とても尊敬されています。
サッカーというのは、ヨーロッパでは、本当にあらゆる人に根ざしているのだと言うことが判ります。
だから、審判は、試合中も試合後もジャッジが正しかったかどうか念入りにディスカッションし、審判が解決出来ることは次に生かすと言うことを行っています。
勿論良いジャッジをした所を褒めることも忘れません。
UEFA会長が、際どいジャッジはビデオでの判断に任せてはどうかと言う報道に対して審判団に「サッカー選手は、ゲームをするのにハイテクを使わない。そして、ミスも犯す。同様に審判団も、ハイテクを使って判断しない。だが、審判も神ではない。ミスを犯すことも有り得ると言うことを理解して頂きたい」と言ったことを言っていて興味深かったです。
また、試合後に審判が選手に「あのときは済まなかった」とか、「おつかれさん」と言った風に声を掛けていくシーンがあり、双方の選手も自ら駆け寄って審判と握手をしていくシーンも見所でしょう。
それだけ、審判が尊敬を受ける立場であり、審判も尊敬を受けるべく正しいジャッジを目指し努力しているからなのでしょうね。
日本でそう言う事している人達はいるのでしょうか。
私は、特段サッカーが好きというわけでもないのですが、それでも本当に楽しめました。
ですが、スポーツでドキュメンタリー作品なので、興味のない人には退屈な映画かもしれません。
サッカーが好きかスポーツに興味がある方で更に、この映画に興味を持った方は観に行かれると良いでしょう。
とは言え、現状、全国で5館でしか上映していませんけど…。
これ、DVD出ないのかなぁ。ちょっと欲しい。

(2010/12/07追記)DVD出ました。
![レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏 [DVD] / ハワード・ウェブ (出演); イブ・イノン (監督) レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏 [DVD] / ハワード・ウェブ (出演); イブ・イノン (監督)](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/5171J8OBEeL._SL160_.jpg)
しかも毎日12時30分からって・・・。
DVD出るでしょ〜。出たら教えてちょ。
出たら連絡します。